あなたと家族を守るための「相続」話し合い

「元気なうちに、“相続”を家族で話し合った方がいいですよ」とお伝えすると、色々な方から、家のご事情やご家族の話をお聞きします。

子どもの立場から「親が“まだ先だから”と面倒くさがって、終活の話ができない」
親の立場から「子どもが、相続に興味を示さない。家も要らないと言う」
親の立場から「我が家の兄弟姉妹は仲がいいし、多分、大丈夫だろう(相続では揉めないだろう)

そこで、親元を20年離れ、東京から徳島にUターンした私の想いから、お話をさせていただこうと思います。
家族関係は家族の数だけあり、それぞれ立場も違うかと思いますが、少しでもご参考になれば幸いです。

親子のコミュニケーション不足

子どもの立場から言えば、実家から離れて自立すると、目の前のことで精一杯で、実家のことにまで気持ちが回らなくなります。仕事をしていれば、とにかく忙しく、なかなか親のことを考えられません。そうしているうちに、地理的距離ばかりか「心まで疎遠」になります。

今は、LINE等が普及しているので、こまめに連絡を取りやすくなったかも知れませんが、今、相続問題が目の前に迫ってきている、私と同じ世代の子ども達は、「連絡をとる手段=固定電話or携帯電話」しかなかったと思います。つまり、忙しい時に電話などできない。そして、電話が面倒くさくなる・・・。

では、実家暮らしの子ども達はいかがでしょうか?親は常に側に居る存在なので、相続(つまり、親が死ぬ)といってもピンとこない。そして、実家にいようとも、働いていれば常に忙しく、親とのコミュニケーションはなかなかとれないのが現実ではないでしょうか。

つまり、相続のことを親子で話せないのは、日頃のコミュニケーション不足が原因の一つだろうと思います。

何気ないコミュニケーションをとるところからスタート

普段、コミュニケーションが足りていないのに、いきなり「相続の話」を切りだしても、相手が警戒するのは当然です。親の立場から言えば、「まだ自分の死を考えたくない」かも知れませんし、子どもの立場から言えば、「親が死ぬなんて考えたくない」方もいらっしゃると思います。

しかし、「死」は誰にでも訪れます。病気等で、本人も家族も覚悟を決めないといけない場合もありますが、事故等で突然死の場合もあります。そして、「死」のタイミングは誰も予測できず、年齢も関係ありません。

だからこそ、「まあ、まだ先でいいか」と思わず、まずは、「何気ない会話」をすることからスタートしていただきたいのです。

私は20年ぶりに東京から徳島に帰り、家族との接し方、距離の取り方が分かりませんでした。それでも、少しずつお互いに距離を縮めてきた気がします。

突然思い立って「相続のことを決めなきゃ!親と(子どもと)話をしなきゃ!」では、良い流れにならない可能性が高いと思います。

相続の話の前に、相手に興味を持ち、相手の立場を考え(親子といえども、個別の人間で互いに考えは異なります)、そして距離を縮めてから、揉めない相続について準備を進めていけばいいのではないでしょうか?

本音を聞くことの大事さ

「我が家の兄弟姉妹は仲がいいし、多分、大丈夫だろう(相続では揉めないだろう)」

この考えは危険だと思います。兄弟姉妹仲がいいのは、親であるあなたが生きているからかも知れませんし、兄弟姉妹の本音は、親には分かりません。

「仲がいい」ように見えるのは、あくまで「親の希望的観測」だからです。そして、子どもの頃は仲が良くても、大人になって様々な経験を積めば、考え方は変わります。そこまで、親は把握できません。

このような考えが「争族」になりやすい典型例だと思います。防ぐ方法は「亡くなる前の綿密なコミュニケーション」「遺言書作成」です。

法律の面白さは「人間ドラマ」があること

「人間の営み」をサポートするためのものが「法律」です。一般には「法律」は難しく感じるかも知れませんが、「法律は、人間が人間らしく生き、互いの利益考慮をするために定められている」と考えると、法律運用の場面は「とても人間くさい」のではないかと思うのです。

そして、人間には感情があり、感情のもつれから訴訟にも発展します。「自分の正しさ」を主張するとき、相手の考えや立場はそっちのけになります。

そうなると、冷静にコミュニケーションをとり、問題を解決することなど不可能となります。結果、たどり着くのは精神的にも金銭的にも苦しくなる「裁判」です。

民法において「親族法」は大切に規定されていますが、その法律を「運用するのは、一人一人の人間」であり、そこには「感情」があります。互いに相手を思いやったコミュニケーションなくして、「相続」の話し合いはありえないでしょう。

「親が“まだ先だから”と面倒くさがって、終活の話ができない」
「子どもが、相続に興味を示さない。家も要らないと言う」

と言う前に、

まずは「あいさつ」や「相手のことを気遣う言葉」から始めてみましょう。

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