「山の日」に考える「山の所有者責任」(民法717条)

那賀町に移住してから、三味線を通じて知り合った日本舞踊の先生から「BE-PAL」という雑誌をいただきました。その先生の本業は「自伐型林業」です。

1978年から、ご主人とお二人、110ヘクタールの山を相続し、一気に伐採して新たに苗木を植える「皆伐」「大規模間伐」ではなく、樹木の調和を大事に、必要な木だけを選んで間伐を繰り返す、地道な林業スタイル「自伐型林業」を貫いてこられました。

適度に木を伐りだし運ぶためには、地形や水脈を読み、網の目のようにつけられた「作業道」が大切で、総延長30キロメートルに渡る「作業道」を30年かけて造られました。詳しくは、拙ブログ「那賀町に暮らす魅力的な人々」のインタビュー記事をご覧ください。今は、息子さんが家業を継いで、お父様と一緒に頑張られています。

この前から、静岡県の公共事業で、説明なく大規模な伐採が行われ、山林の所有者が困惑してるというニュースが話題になっています。

何が自然にとって、山にとっていいのか、身近なこととして考えた方がいいのではないかと思います。県や業者と契約書を交わすのはもちろんのこと。「言った、言わない」は、避けなければなりません。そして、伐採してしまってからは、後の祭りです。当事務所では、契約書の作成も承っております。

10年ほど経って、伐採した木の切り株が土砂を止める役割を果たせなくなったとき、土砂災害のリスクが出てきます。流域で土砂災害が起きたとき、占有者(山を誰かに賃貸していた場合など)が、損害の発生をするのに必要な注意をしたことを立証したときは、土地(山)の所有者は無過失であっても、賠償責任を負うことも考えなければなりません。

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。

3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

民法第717条

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